いささめに読書記録をひとしずく

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ピーター・H・ディアマンディス著,尼丁千津子訳「科学的根拠による体調メンテナンス大全」(日経BP)

おじいちゃんといっしょの佐藤善次さんは高校生にしか見えない80歳のおじいちゃんである。 2017年にこの作品をリリースした当時、高校生にしか見えないおじいちゃんなどというのは非現実的な笑い話であった。他ならぬ作者本人がそのように扱っていた。 フィ…

塩沢美代子著「結婚退職後の私たち:製糸労働者のその後」(岩波新書 青版 797)

メインタイトルは現在でも通用する社会問題提起である。 しかし、サブタイトルを見ると時間の流れを感じる。 そして、本書刊行年を調べると、現在とは違う形の社会問題が見えてくる。昭和46(1971)年、世間では第二次怪獣ブームで帰ってきたウルトラマンや仮…

金元祚著「凍土の共和国:北朝鮮幻滅紀行」(亜紀書房)

今となっては信じられないかも知れないが、昭和59(1984)年に本書が刊行されるまで、日本では北朝鮮が地上の楽園と扱われ、経済的にも発展した平和で豊かな国と扱われていた。朝鮮半島は北が南より成功しているとされていたのである。 上記の二枚の画像も、当…

髙田宗平編「日本漢籍受容史:日本文化の基層」(八木書店)

日中関係がギクシャクしているというか、中国が一方的に日本に難癖を付けてきている。こんなことは歴史上あったのか、と言いたいところであるが、歴史を振り返ると、ある。そもそも中国大陸という場所は数多の国が生まれては滅び、ときは数多くの国が乱立し…

カリン・ウォール=ヨルゲンセン著,三谷文栄&山腰修三訳「メディアと感情の政治学」(勁草書房)

昨日12月26日はソビエト滅亡記念日であった。 Happy Soviet Union Collapse Day! pic.twitter.com/0eP8pA7zw6 — 德薙零己 (@rtokunagi) 2025年12月26日 しかし、ソビエトという国家は地球上から消え失せようと、ソビエトの残滓は今もなお姿を変えて存在して…

フランソワ・ド フォンテット著,高演義訳「人種差別」(文庫クセジュ 695)

船橋市の共産党員の投稿が話題になっている。 僕は何があっても中指なんか立てない。中指立てる活動家は恥を知れ。 pic.twitter.com/sg2DJdNklK — 佐川長(たける) (@sagawa_takeru) 2025年12月22日 この当たり前の投稿に対し、中指を立てて差別を繰り広げ…

德薙零己著「おじいちゃんといっしょ:クリスマス?」

サンタクロースと言えば男性高齢者。ここまでのイメージはまだいい。 問題は、若い女性がサンタクロースのコスプレをする場合。 どういうわけかミニスカートになる。女性の立場に立って考えれば、自分がその格好をすることで相手が喜んでくれるというのであ…

佐高信著「昭和20年生まれ25人の気骨:「戦後80年」の証言者たち」(日刊現代)

先日最新話を公開した弊作、「おじいちゃんといっしょ」の佐藤善次さんは昭和12年生まれである。父の出征も、兄の学童疎開も、そして東京大空襲も経験しており、目の前で母と祖母を亡くした人である。 おじいちゃんといっしょ 55: クリスマス? 作者:德薙…

中川右介著「SMAPと平成」(朝日新書)

平成30(2018)年まで、本日12月23日は天皇誕生日の祝日であった。 令和の現在は平日になったとどんなに頭で考えても、概念としての12月23日の祝日は未だに消えないでいる。と同時に、12月23日を迎えると平成という時代を思い返す一日になる。 平成という時代…

丹下和彦著「食べるギリシア人:古典文学グルメ紀行」(岩波新書)

荒川弘氏の百姓貴族のアニメ3rdシーズンの最終回を御覧になったかたは、現在の農業知識を持った状態で異世界に転生した場合のあるある、すなわち、「そもそもジャガイモが存在しない世界」を直面したはずである。 /⋰アニメ「百姓貴族」3rd Season40頭目本…

ベン・メイブリー著「プレミアリーグ全史 3」(平凡社新書)

これから記すことは浦和レッズの関係者にとって、また浦和レッズサポーターにとって屈辱と感じるであろうことである。 クラブワールドカップ2025は、イングランドでは地上波で放送されたが、イングランド勢であるチェルシーが優勝したにもかかわらず、イング…

ジョン・トッド著,渡部昇一訳「自分を鍛える!:「知的トレーニング」生活の方法」(三笠書房)

原著名は "The Student's Manual: Designed, by Specific Directions, to Aid in Forming and Strengthening the Intellectual and Moral Character and Habits of the Student"、一般には "The Student's Manual" と呼ばれるこの本は1835年に刊行された自己…

野広実由著,ヨシキ監「家族ではない私たち~児童養護施設・すみれの家~」(ぶんか社)

タイトルを外して表紙だけを見ればごく普通の漫画に見える。第一巻での憂いのある少女と、第二巻での幸せそうな兄妹という構図から、タイトルだけあって副題を載せなかったとしても、家族になるに至るある程度ほのぼのしたストーリーのマンガに見える。 また…

アーノルド・ベネット著,渡部昇一訳「自分の時間:1日24時間でどう生きるか」(三笠書房)

まずは前提として記しておかないことがある。 本書はもともと "How to Live on 24 Hours a Day" というタイトルで1908年に刊行された一冊である。その本を2016年に渡部昇一氏が翻訳して2016年に三笠書房から刊行されたのが本日の記事にリンクしている邦訳版…

屋名池誠著「横書き登場:日本語表記の近代」(岩波新書 新赤版 863)

本日のこの記事も例外ではない。 今や日本語はそのほとんどが左から右へと文字を並べる横書きになっている。 本人がいかに縦書きを希望しようと、環境が横書きしか用意していないことなど珍しくない。コンピュータやスマートフォンで文字を入力するときだけ…

渡部昇一著「アングロサクソンと日本人」(新潮選書)

数日前、福祉国家に対する風刺画が𝕏(旧Twitter)上で話題となった。 イーロン・マスクがリポストしたこの絵、正直いまの日本そのものだと思う。最初は「みんなで引っ張って、みんなが楽になる」気づけば「引く側は増え、引かされる側だけが疲弊」。頑張るほ…

フィリップ・コトラー&ヴァルデマール・ファルチ著,杉光一成訳「コトラーのイノベーション・ブランド戦略:ものづくり企業のための要素技術の「見える化」」(白桃書房)

世界における日本の産業のプレゼンスが低下している。 日本の生み出す製品の技術が劣っているのかと言われると、かつてほどの圧倒的インパクトは残していないが、それでもまだトップランナーの一角ではある。ただ、そこまでのプレゼンスを残していない。 な…

葛野浩昭著「サンタクロースの大旅行」(岩波新書 新赤版 591)

あなたがもし画像を作れる生成AIのアカウントを持っているなら、生成AIにサンタクロースを描くよう依頼していただきたい。 サンタクロースとは、赤い服を着た恰幅のいい高齢男性で、白い髭を蓄えており、赤いナイトキャップをかぶっている。 このイメージは…

楠桂著「サレ妻漫画家の旦捨離戦記」(大洋図書)

今年の三月、漫画化である楠桂氏が𝕏に投稿した書き込みが波紋を呼んだ。 我が名はアシタカ!わたしの夫が、浮気して他の男とデキ婚した中学の同級生の元カノと、10年以上の繰り返しゲス不倫してた!地元の夫の同級生の男たち大勢グルでアリバイ工作してて団…

楠桂著「寿戦記【改訂版】」(大洋図書)

以前、楠桂氏が体験し続けた死産と流産の苦しみ――そう、単数形ではなく複数形で記さざるをえないほどの苦しみ――を描いた作品である「不育症戦記~生きた赤ちゃん抱けるまで~」(大洋図書)を紹介した。 rtokunagi.hateblo.jp 本書はもともと2001年に刊行さ…

鈴木透著「食の実験場アメリカ:ファーストフード帝国のゆくえ」(中公新書)

戦中戦後の日本人にとって最も深刻な問題は食糧の確保であった。満員の列車に身動きできずに乗り、農村から物々交換で食料を分けてもらい、一杯の雑炊を求めて10km以上歩き、いつ来るか分からない配給を待ち望み、闇市で正体の分からないものを探していた。…

倉山満著「ウルトラマンの伝言:日本人の守るべき神話」(PHP新書)

ウルトラマンの放送開始が昭和41(1966)年であるから、ウルトラマンは来年で還暦を迎える。それだけの長期間に亘って世代を超えて愛され続け、最新作が次々と登場し、世代を超えた共通言語としても通用するまでになったウルトラマン。 倉山満氏は本書において…

ジェフリー・フェファー著,村井章子訳「「権力」を握る人の法則」(日本経済新聞出版)

Jリーグクラブの伝統行事というか、そのシーズンのホーム最終戦を終えたあとでGMや社長といったクラブのフロントのトップが出てきてサポーターに一言述べる、そして、納得いく成績を残さなかったならばサポーターからブーイングを浴びるという光景がある。 …

澄川龍一著「アニソン大全:「鉄腕アトム」から「鬼滅の刃」まで」(祥伝社)

今から30年前、日本の産業は様々な分野で世界を席巻していた。家電も、自動車も、そして金融も、日本が世界のトップリーダーであった。 現在、その光景はない。ゼロではないが、乏しい。 しかし、この30年の間にさらなる発展を見せ、世界のトップランナーを…

黒沢哲哉編著(第1巻),有田シュン編著(第2巻)「よみがえるケイブンシャの大百科」(いそっぷ社)

昭和40年代から今世紀初頭にかけて、書店の子供向けのエリアには独自の雰囲気を生み出す書籍群があった。一冊一冊が特撮やアニメ、怪獣、プロ野球、アイドル、ラジコン、恐竜といったテーマごとにそのテーマの内容を網羅した書籍であり、プロ野球やアイドル…

橘木俊詔著「中年格差」(青土社)

団塊ジュニア世代にとっての平等とは、理念であって現実ではない。 家族を持ち、自分が建てた戸建てやマンションに住み、資産を形成して将来の年金の心配も無い。 家族もなく、狭い賃貸や親の残した住まいに住み、資産など夢物語で将来の年金など期待もでき…

玉木俊明著「世界史を「移民」で読み解く」(NHK出版新書)

極論すれば、全てのホモサピエンスはアフリカ大陸で誕生したイヴの子孫であり、イヴの誕生した地を除き、全ての人類は移民とその子孫である。 もっとも、それは極論であって現実的な話ではない。あなたも私も誰もが移民ではないかと言われて納得する人などそ…

ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー著,櫻井祐子訳「無料より安いものもある:お金の行動経済学」(ハヤカワ文庫NF)

最近、アッパーマス層を目指すためのノウハウをあれこれ訴えるコンテンツが増えてきている。 アッパーマス層とは野村総研が発表した純個人金融資産についての概念の一つであり、金融資産から住宅ローン残高などの負債を聞いた金額が3000万円以上5000万円未満…

アミール・D. アクゼル著,吉永良正訳「天才数学者たちが挑んだ最大の難問:フェルマーの最終定理が解けるまで」(ハヤカワ文庫)

知らず知らずのうちに私はThreadsでは算数の問題を出すオッサンという扱いになってしまってるが、自分で言うのも何だが、私は数学に詳しいわけではない。何しろ三流私大の文系出身だ。それでも算数の問題を投稿しているのは、それがパズルを解く感覚になって…

黒木登志夫著「知的文章術入門」(岩波新書)

私事であるが、私は某金融機関でITエンジニアとして働いている。要はシステムエンジニアだ。システムエンジニアというとコンピュータの画面に向かいコンピュータプログラムを作る仕事と思う人もいるだろうし、たしかにそれも仕事としているのであるが、実際…