まずは前提として記しておかないことがある。
本書はもともと "How to Live on 24 Hours a Day" というタイトルで1908年に刊行された一冊である。その本を2016年に渡部昇一氏が翻訳して2016年に三笠書房から刊行されたのが本日の記事にリンクしている邦訳版である。
この本は単に今から100年以上前に書かれた時間活用術の古典であるというだけではない。現在もなお自己啓発本の名作として世界中で読み継がれているだけでなく、多忙を極めるビジネスパーソンや、要件に追われて自分の時間を手にできないでいる人にとって現在進行形で通用するノウハウ集である。
たしかに原著刊行の時点では、ネットはおろか、テレビゲームも、テレビも、ラジオも存在しない。ようやく映画が普及してきたかどうかというところである。原著刊行の時点でコンテンツとは新聞と雑誌と書籍から手に入れるものであるという時代であるため、時間泥棒は現在より少ない。しかし、時間が無いという本質に違いはない。
まず、1日が24時間であるというのは全ての人に平等に付与されている資産である。それも、翌日に持ち越せない資産である。寝て起きたら、あるいは時計の針が午前0時を迎えたら、誰もが財布にまっさらな24時間が詰まっている状態となる。しかも、財布の中の金は増やすことができるが、財布の中の時間は黙っていても減っていくだけ、何もしなくても減っていくだけ、何かをしてもやっぱり減る。金は稼げば増えるが、時間は取り戻せない。
その上で、多くの人は仕事時間を中心に考え、残りを一日の生活の余剰と扱うが、実は通勤や夕方以降の時間こそが自己成長の鍵であると著者は記す。
具体的には以下の通り。
- 早起きして朝の時間を活用する。朝の1時間は夜の2時間に相当する。
- 週に3回、夜の90分を読書、学習、趣味などの自己啓発に充てる。これを1週間の最重要時間とし、継続する。
- 通勤中に1つのテーマに意識を向けるなど思考の集中訓練をする。
- 内省の時間を確保し、原因と結果の法則を意識する。
- 小さな習慣から始め、計画に縛られすぎない柔軟さを持つ。
本書は、仕事以外の時間の過ごし方が、人生の明暗を分けるということに主眼を置いている。この概念は今もなお有効である。



