2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
独創性。それは天賦の才能ではなく、誰もが発揮できる能力である。 それなのに一部の人しか独創性を発揮しないように見えるのは、そもそも発揮していないからである。独創性を発揮するのに必要なことを本書は科学的根拠に基づいて解説する。本書の記述に従え…
本書は金融市場と中央銀行の役割について深く掘り下げた一冊である。 著者は、中央銀行が「最後の貸し手」としての役割を果たすことが常識となっていることを明確に説明していると同時に、近年の金融危機においては、中央銀行がその役割を超えて Dealer of l…
複式簿記。一見すると難しいように感じ、実際に手を付けてみると思っているよりは難しくないと感じ、さらに深くのめり込んでいくとやはり難しいと、しかし、公明正大な結果を示すために便利な代物であると実感する。本書は、富を測定・記録するためのシンプ…
アダム・スミスと言えば「神の見えざる手」のイメージがあまりにも強烈であるが、実際には市場原理主義者でもなければ、利己主義の肯定者でもない。それを示しているのが本書である。 本書は大きく三つのパートからなる。一つ目は人間アダム・スミスの生涯、…
2009年8月末、日本は取り返しの付かない失敗をしてしまった。3年8ヶ月の太平洋戦争に匹敵する3年4ヶ月の悪夢、民主党恐慌時代である。 何でこんなものが誕生したのかを突き詰めると、他人のやることなすことに難癖を付けるだけで自分で考えることのできない…
本書は、既存の事業のDNAを活かしながら、新たなビジネスモデルを探し、爆発的な成長へと導く10のルールを提供している一冊である。 以下がその10のルールである。 すべての偉大なイノベーションの物語において、優れたアイデアは序章にすぎない。急成長のた…
本書は、新たな科学の発想や発明が致命的な禍いをもたらすことがあるというテーマを探求している一冊である。 十分に検証されることなく、それこそ科学の名に値しないまま世に出てしまったものは無論、科学としては輝かしい着想や発明であったにもかかわらず…
当たり前すぎて気づかないが、生命の進化を考えたとき、光を感知するという概念はあまりにも画期的だ。触覚、味覚、嗅覚、聴覚、これらの情報はあまりにも遅すぎる。光というこの世で最も早い存在を察知することができれば捕食や逃走で優位に立つ。 本書は、…
「選ばなければ働く場所なんていくらでもある」 何とも残酷な言葉である。就職氷河期は理解できるであろう、どれだけ受けても面接で落とされ、履歴書が返送される日々。返送されればまだマシで採用しないことを告げる知らせすら送られてこない日々。どこでも…
本書は、考古学と中世史研究の交差点に位置する一冊である。遺跡から読み解くことができる中世の歴史についての洞察を提供し、発掘された建物遺構の解釈や出土文字史料の見方、金山遺跡における「場」と「景観」など、多岐にわたるトピックを扱っており、た…
そして、本書を読んだ私は一つの現実に直面した。自分はカメになれなかったウサギだったのだ。それも、かつてはウサギであった何かでだったと。 同期の誰よりも成績を残した。同期の誰よりも出世した。同期の誰よりも責任を背負い、そして、倒れた。 復帰し…
ヴェルナー・ゾンバルトはマックス・ヴェーバーが自身の後継者として指名したことでも有名な経済学者であり、「近代資本主義」でゲルマン人企業家の中に「ファウスト」的精神を見出し、「ユダヤ人と経済生活」でユダヤ人をメフィストフェレスに擬えるなど、…
ミもフタもないタイトルの本であるが、その通りである。 給料が高く、周囲から羨望を集め、多くの若者が将来就きたいと考える職業は特定の地域に集中している。その地域に職業が集中することでその地域に人が集まり、その地域に住む人をターゲットとしたビジ…
紀元前3世紀、古代ギリシャで一つの哲学派閥が誕生した。ストア派(Στωικισμός)である。自らが被る苦難などの運命をいかに克服するかを説き、道徳的かつ知的に完全な人間は判断の誤りから生まれる破壊的な衝動などに苛まされないとするその哲学思想は、現在の…
「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」、あるいは「コンピュータの処理能力は指数関数的に向上していく」という、いわゆる「ムーアの法則」を知る人は多いであろうが、いまいちピンと来ない人も多いであろう。だが、かつてインテルのCEOを務めていたク…
経済学は社会科学である。何を今更と思うかも知れないが、経済分析の多くは自然科学の手法を用い、人の行動を理論上の行動として計算することで分析する。そのため経済の世界では時折このような声が挙がることがある。「理論上あり得ないことが起こっている…
ガチャという言葉はあまり好きではないが、豊かな社会階級に生まれた人間は、そうでない人間よりも豊かになる、すなわち生まれのガチャが本書のテーマである。「機会の平等」を建国の理念にしたアメリカも、アメリカとは対極にあるスウェーデンも、中世イン…
「21世紀の資本」や「資本とイデオロギー」のトマ・ピケティ氏の師匠にあたる人物が、アンソニー・B・アトキンソン氏である。本書はアトキンソン氏の長年の不平等研究の集大成とも言える一冊であり、不平等に関する研究から現代社会の根本を問い直し、思想の…
次の文を読んでいただきたい。 We find the defendant, Salvatore Merra, guilty of murder in the first degree, and the defendant, Salvatore Rannelli, guilty of murder in the first degree and recommend life imprisonment at hard labor. 被告人サ…
イギリスが階級社会であるというのは多くの人が見聞きしてきたことであろう。 そして、イギリスの階級社会は 上流階級 中流階級 労働者階級 の3つに分かれており、イギリスの階級社会を分析する人は中流階級と労働者階級の間を明確に線引きすることに着目し…
「ゴーストワーク」。それは、API(Application Programming Interface)とインターネットを利用し、調達からスケジュール管理、出荷、開発まで行う仕事を指。利用者にはAIが対応していると思われる業務について、実際にはAIが対応しきれないタスクを人間が処…
戦争と資本主義という書名であるが、死の商人について扱った書籍ではない。戦争が資本主義の発展にどのように影響を与えたかを詳細に説明している書籍である。 ゾンバルトは本書において、軍需による財政拡大が資本形成を促進し、常備軍の増強が農業、流通、…
本書は1930年代のケインズが直面した経済的困難に対して、問題の本質を理論的に解明し、具体的で現実的な政策手段を提案した内容がまとめた一冊である、 ケインズは、新聞や雑誌への寄稿、あるいは講演という形で、より広範な市民に向けて、自身の考えを噛み…
地獄の入り口の出来事の描写である。 1929年の暗黒の木曜日似始まる恐慌は株価を七分の一にまで減らし、アメリカ国内だけでも銀行倒産件数は6000を数え、1000万人以上の失業者を生みだしてしまった。本書はこの地獄の入り口を、難解な専門用語や数式を用いる…
本書はビットコインやフィンテックを支える技術として話題になっているブロックチェーンについて解説している本であり、どのような仕組みになっているか、どのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのかを詳しく説明している一冊である。ブロックチェー…
本書は、ハーバード大学のケネス・S・ロゴフ教授が従来から主張している「レスキャッシュ」、すなわち、現金のない取引である「キャッシュレス」ではなく、現金の少ない社会を解説している書籍である。 振り返ると、現在はロゴフ教授の提唱するレスキャッシ…
念頭に置いていただきたいのは、イギリスでの本書刊行年が1944年、すなわち、第二次大戦の渦中であるという点である。 第二次大戦の連合国はナチズムやファシズムと戦った。ナチズムの侵略とファシズムの圧政に対する自らは、自由と民主主義のもとにあると信…
多くの人が気づくであろうが、本書のタイトルはハイエクの「隷属への道」の本歌取りである。 ただし、ハイエクが統制経済のもたらす国民生活水準の悪化の警鐘として隷属への道を記したのに対し、本書は人間がAIとロボットとの競争に負けつつある現代社会に対…
今まさに繰り広げられているロシアのウクライナ侵略。テレビや新聞では連日連夜ウクライナでの戦闘の様子や戦場と化したウクライナの様子、そして、侵略している側の国がどうなっているかの様子を伝えている。それは、そうした様子を伝える媒体の一つとなっ…
ロシア革命からソビエト崩壊までの過程において何か一つでも生み出したモノがあるだろうか? その答えは、「一つだけならある」。 テトリスだ。 75年間の共産主義の歴史で唯一生み出したテトリス。このテトリスは単純であるがやみつきになるゲームであるため…