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大島正二著「漢字伝来」(岩波新書 新赤版 1031)

漢字伝来 (岩波新書 新赤版 1031)

来月8日投開票日の衆議院議員総選挙に向けて立憲民主党公明党が合併して「中道改革連合」が誕生し、新たなロゴマークが作られたことに対し、「中国共産党の関係組織に『中革連』という組織があり、そのロゴマークに似ている」という話がネットに出ている。無論これは悪い冗談なのだが、その冗談を本気にしてネットで拡散している人がいる。さすがに𝕏(旧Twitter)のコミュニティノートに訂正が出ているが、その訂正の中でこれ以上無い説得力があったのが、「『中革連』の『連』の文字が簡体字ではない」という説明であった。

我々日本人は漢字を無条件で中国から来た文字であり、また、同じ文字を使用していると考えてしまうが、日本に漢字が伝来してから1800年、あるいは2000年者年月が経過しており、伝来と途絶が連続したこと、漢字以外の文字の概念が生まれなかったことから、漢字は日本語表記の唯一の手段となり、日本語の表現方法として確立された。

とまあ、ここまでであれば日本における漢字の伝来と日本語における漢字の役割として一般的な解説であり、タイトルから感じる本書の内容であろう。実際、本書のメインは日本語と漢字との関係である。

だが、多くの漢字伝来関連の本が日本国内の出来事だけに終始するのに対し、本書は東アジア全体を視野に入れている。歴代の朝鮮半島の国々、とくに百済新羅高句麗三国時代を筆頭に、ベトナム契丹=遼、西夏女真=金、さらにはモンゴル帝国時代のパスパ文字までを取り上げることで、漢字文化圏において漢字がどのように受容され、変容となり、そして拒絶されたかを比較している。

比較しているからこそ、日本人が漢字に対して音読みと訓読みの多重構造を構築し、その延長線上に表音文字としての仮名を生み出したことの独自性と稀有さが際立つ。

なぜ日本が漢字を日本語とすることに成功したか、そして、現在の我々の漢字が台湾とも、中国大陸とも異なる形で受け入れることができたかを本書は説明する。

その延長線上に、本日の記事の冒頭部である漢字の差異が存在する。