才能ではなく努力によって、それも効率的な努力によって、その人の能力を伸ばすことが可能であると説いている本である。それは先天性のものではなく、生まれ育った環境で、そして、努力で能力を伸ばせると行くのが本書の主張だ。
そして、耳の痛いことも書いてある。
能力をもっとも伸ばすのは、努力することが当たり前の空間にいること。
現状で満足している限り能力は現状維持はおろか衰退するのみであること。
現在は過去と比べ能力を伸ばしやすくなっていること。
と同時に、気になることも書いてある。
「100年前の人びとが現代の基準の知能検査を受けたら、平均IQは70になる」
「いっぽう、現代の人びとが100年前の基準の知能検査を受けたら、平均IQは130になる」
(本書p.120)
ここ数年、いやというほど実感するのは、ゆとり世代(この呼び方は好きではないが、仕方なくこの呼び名を使う)が明らかに自分より頭が良いという点。そして、若い人ほど頭が良い。たぶん、21世紀生まれはゆとり世代を凌駕するであろう。
現状を変えようとしない者以外は。
能力を伸ばすノウハウが年々進歩してきている。そのため、かつてならば圧倒的と判断されるレベルで能力を持ち合わせていても、時代とともに平均になり、平均以下になり、論外になっている。
若い人ほどより激しい競争に晒されている。