本書は資本主義の歴史とその本質についての洞察的な探求の一冊である。ただし、本書では資本主義というものがイングランドの片田舎で偶然生まれ、その後幾度もの危機に直面してきたにもかかわらず、現代ではわれわれの世界を規定しているように見えるととしている。実際のところ、資本主義というものは近現代に特有の経済的事象ではなく、人類社会の普遍的な現象であるが、少なくとも現在社会における資本主義の暴走制御システムはイングランドによるルール制御に由来することは認めねばならない。
その上で著者は、イングランド由来の資本主義の歴史をたどり、その成り立ちや変遷を詳細に説明している。そのために読者は、資本主義がどのように発展してきたのかを理解することができる。
実際、資本主義は何度も危機に直面してきた。その危機の原因や資本主義の寿命について考察すると、人的要因だけでなく経済的な変動や社会的な要因がどのように影響を与えてきたのかが見えてくる。その考察は歴史から現代社会へと繋がり、我々の生活に大きな影響を与えていることも見えてくる。
その結果、なぜ資本主義が今日でも重要であるのかを明確に示されることとなる。