当たり前すぎて気づかないが、生命の進化を考えたとき、光を感知するという概念はあまりにも画期的だ。触覚、味覚、嗅覚、聴覚、これらの情報はあまりにも遅すぎる。光というこの世で最も早い存在を察知することができれば捕食や逃走で優位に立つ。
本書は、生命史上最大の出来事であるカンブリア紀の爆発的進化について、文字通り新たな視点を提供する一冊である。その新しい視点こそ「視」という概念である。
本書は、地球上で最初の「眼」が生命の進化にどのような影響を与えたかという謎に迫っていく。眼が生物に視覚という新たな感覚をもたらしたか、それが生物間の相互作用や生態系全体に大きな影響を及ぼしたかを主張する。前述のように眼があることによって生物に捕食や逃走といった新たな行動を可能にし、それが進化の速度を加速させたというのが本書の主張だ。
その上で、ダーウィンやグールドをも悩ませた爆発的進化の原因とは何か、という問いに新たな答えを提供する。著者は本書で地球最初の眼から始まる壮大な進化の真実を描き出している。
ところで、私は1月4日生まれである。そのためか、このページのニュートン直筆のイラストに妙な親近感を感じる。
※アイザック・ニュートンの誕生日をグレゴリオ暦に直すと1643年1月4日です