独創性。それは天賦の才能ではなく、誰もが発揮できる能力である。
それなのに一部の人しか独創性を発揮しないように見えるのは、そもそも発揮していないからである。独創性を発揮するのに必要なことを本書は科学的根拠に基づいて解説する。本書の記述に従えば「ふつうの人」がどのようにして「オリジナル」なことを成し遂げることができるのかである。具体的なエピソードを交えながら、人々が新しいアイデアを生み出し、それを実現するために必要なスキルや思考法を紹介している。
たとえば、アップル社員がスティーブ・ジョブズに猛反論して成功を収めた理由などが本書に取り上げられた顕著な例だが、それはその人が特別な人間だからではない。たしかにスティーブ・ジョブズに楯突いたというのは特別な人間とも言えるが、それでも天賦の才能ではなく理論上は誰でもできる行動である。その行動をとったという以外は特別なことをしていない。
上記のアップル者の社員の例はわかりやすい例であるが、本書の著者は成功した企業や個人がどのようにして独自の道を切り開いてきたのか、その過程でどのような困難に直面し、それをどのように克服したのかという事例をその他にも紹介している。そして本書に取り上げられている事例は、読者に対して具体的な行動指針を提供するとともに、自身の可能性を信じて行動する勇気を与えるものとなっている。
本書は、新しい視点を提供し、読者の思考を刺激するだけでなく、具体的な行動指針も示している。そのため、自分自身を成長させたいと思っている人、新しいことに挑戦したいと思っている人にとって、非常に有益な一冊だと言えよう。
