「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」、あるいは「コンピュータの処理能力は指数関数的に向上していく」という、いわゆる「ムーアの法則」を知る人は多いであろうが、いまいちピンと来ない人も多いであろう。
だが、かつてインテルのCEOを務めていたクレイグ・バレット氏の言葉を記すとイメージが強く沸くであろう。
「インテルの12月の売上の90%は、その年の1月にはまだ存在しなかった商品によってもたらされる」
本書はインテルの創業から現在までの企業史を詳細に描いた作品である。インテルの創業者であるゴードン・ムーア博士が1965年に提唱した「ムーアの法則」について詳しく説明するところからはじまり、技術力と営業力、才能と努力、継承と革新、模倣と創造など、ビジネスにおける重要なテーマを描き出している。
そもそもインテルとはどのような会社か?
半導体企業であるということはさておき、この逸話がインテルという企業を最も強く表しているであろう。
1981年、経営危機を迎えてしまったインテルは、6ヶ月限定で従業員を酷使することを選んだ。どれだけの酷使であったか?
従業員に2時間の残業を命じたのである。
その結果、帰宅が日没後になる社員も現れた。
……、これが酷使になる企業がインテルである。
だからこそ結果を残し、世界に冠たる企業となることができたことは後世まで語り継いでいくべきことであろう。