イギリスが階級社会であるというのは多くの人が見聞きしてきたことであろう。
そして、イギリスの階級社会は
- 上流階級
- 中流階級
- 労働者階級
の3つに分かれており、イギリスの階級社会を分析する人は中流階級と労働者階級の間を明確に線引きすることに着目していた。しかし、BBCの調査はそれほど単純なものではないという結果を導き出した。
本著の著者であるマイク・サヴィジ氏らの研究者は中流を、経済資本(所得、貯蓄、住宅資産と、文化資本(学歴、趣味・教養)、社会関係資本(人脈)をどのようなバランスでどのくらい所有しているのかに着目して5つに分類し、最終的に7階級の存在を明らかにした。
- エリート (elite)
- 確立した中流階級 (established middle class)
- 技術系中流階級 (technical middle class)
- 新富裕労働者 (new affluent workers)
- 伝統的労働者階級 (traditional working class)
- 新興サービス労働者 (emerging service workers)
- プレカリアート (precariat)
この7階級である。
本書はイギリス特有の現象や慣例、考え方に基づいて叙述されているが、社会の上下両端の格差が著しいという状況はイギリスに留まらず世界各国共通の現象となっており、3つの資本が重なり合って格差が広がるという実情は我々日本国に住む者も例外ではない現実として広まっていることから目を背けてはいけない。