完全版第2巻は、源氏物語の
- 第七帖 紅葉賀(もみじが)
- 第八帖 花宴(はなのえん)
- 第九帖 葵(あおい)
が範囲である。
具体的に言うと、光源氏のもとで暮らすこととなった幼き紫の上が、光源氏の最愛の女性になるまでの頃である。もっとも、現在の倫理観で捉えると光源氏はとんでもない人物としか評すしかない。何歳の女性を手元で育てるようにしたのかという点までは許容出来ても、216ページの頃の紫の上が何歳であるかを考えるとどうしようもない人物と感じてしまう。
しかも、紫の上にとっては光源氏だけが相手であっても、光源氏にとっては紫の上だけが相手ではない。光源氏と関係を持った女性は、最高齢は60歳近い源典侍から、最年少は現在で言うと中学生年代である紫の上まで幅広い。また、葵の上や、本館ではまだ登場しないが女三宮も現在の学齢で言うと中学生だ。
そうした女性達が邂逅するとどうなるか?
こうなる。
これこそ漫画だからこそできる描写である。いかに素晴らしい現代語訳でも小説で上記の描写はできない。マンガだからこそこの描写ができ、マンガだからこそ1000年前の人が源氏物語を読んだときに脳裏に浮かべることの情景を、今に生きる我々が目にすることができる。