あさきゆめみし完全版第3巻は、
- 第十帖 賢木(さかき)
- 第十一帖 花散里(はなちるさと)
- 第十二帖 須磨(すま)
- 第十三帖 明石(あかし)
- 第十四帖 澪標(みおつくし)
が範囲である。
光源氏はプレイボーイとしての描写が際立っているが、この人は恋愛だけの人ではない。文武両道に優れた人であると同時に、この人は政治家なのである。源氏物語は政務に関する描写が極めて乏しいが、紫式部が源氏物語を書き記していた頃は光源氏のキャリアを書き記すだけで、光源氏が政治家としてどのような能力を有する人物であるかわかったはずである。
本日の記事は第3巻より画像を添付したが、1枚目は光源氏の学問的側面、2枚目と3枚目は芸術的側面を描いたページであるが、それだけではない。
2枚目と3枚目は失脚したあとの光源氏の描写なのである。
この頃の光源氏は、事実上はともかく理論上は無位無冠なのである。全ての地位と職責を失い須磨での生活を始めた頃の描写なのだ。政治家としての命運が途切れた若き貴族、それがこの頃の光源氏なのである。
もっとも、光源氏の恋愛遍歴は京都を離れてからも変わることないどころか、さらに加速するのであるが……