あさきゆめみし完全版第9巻は
- 第四十二帖 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
- 第四十三帖 紅梅(こうばい)
- 第四十四帖 竹河(たけかわ)
- 第四十五帖 橋姫(はしひめ)
- 第四十六帖 椎本(しいがもと)
- 第四十七帖 総角(あげまき)
が範囲である。
光源氏はもういない。時代は、光源氏の息子ということになっている薫と、光源氏の孫である匂宮の二人の時代となっている。ここで薫についてぼかした記し方をしているが、詳細を記すとネタバレになってしまうのでここで自重する。
光源氏の住まいはかつての栄華も残滓となり、光源氏を取り巻いていた人達は一人また一人と去っていた。そんな中。匂宮と薫はかつての光源氏の生涯を繰り返すようになる。ただ、彼らは光源氏ではない。愛する人を我が身に留め置くことのできるほどの人ではない。
その上で待ち受けている運命。それは、親友であり、親戚でもある二人の若者が、同じ女性に向かい合うという、光源氏であれば体験することの少なかったであろう恋愛の現実である。