あさきゆめみし完全版第7巻は
- 第三十五帖 若菜下(わかなげ)
- 第三十六帖 柏木(かしわぎ)
- 第三十七帖 横笛(よこぶえ)
- 第三十八帖 鈴虫(すずむし)
が範囲である。第6巻でも触れたが、当ブログの記事では若菜を上下に分ける帖を採用しているため、第三十六帖「柏木」からは帖の番号が一つずつズレる。
貴族としての光源氏の時代は終わりを迎え、同世代の仲間達の第一線を退いて次世代が時代を掴むようになっている。この頃の光源氏は、現在の感覚からすればまだまだ現役世代の年齢であるし、平安時代の史実を振り返ってもまだまだ現役から退くような年齢ではないのだが、源氏物語では光源氏と光源氏らの世代は第一線を退いている。
それは、光源氏の貴族としての権勢の終わりの始まりだけではなく、恋愛における光源氏の終わりの始まりのときである。
もっとも、傍目にはそのように感じられない。恋愛に不自由していない光源氏に対し、そして、彼女達に囲まれた光源氏の暮らしを誰もが羨んだであろう。
しかし、彼女達のうちの一人が迎えた運命によって、光源氏の運命も大きく流転するようになる。それは、光源氏の過去の清算ともいうべき流転であった。
どのような流転か? 源氏物語を読んだ方であれば御存知のことであろうが、源氏物語を知らぬ人にとっては壮大なネタバレとなるのでここでは記さないでおく。