ビッグデータという言葉が初めて登場したとき、ビジネスにおける誇大広告の、それも、よくある誇大広告と考えた人が多かった。そして、そのフレーズを通り過ぎた人は今も誇大広告と考え続けている。しかし、ビッグデータに接した人はその概念を完全に捨て去っている。多大なデータはビジネスを生み出す貴重な資産となることに気づいたのだ。
多大なデータ自体は以前から存在していた。存在していなかったのは多大なデータを分析できる人であった。人間が多大なデータに接しても処理しきれなかった。本書の原著名("Big Data at Work: Dispelling the Myths, Uncovering the Opportunities")のサブタイトルにもある通り、神話の世界というべき妄想であった。しかし、コンピュータの登場がその処理を可能にさせた。神話ではなく現実になった。
本書はビッグデータを解析するアルゴリズムを解説する書籍ではない。ビッグデータを利用したビジネスの例を挙げている書籍である。出張、エネルギー管理、小売、家庭教育といった分野でのビックデータ活用例を提示し、ビッグデータを活かしてビジネスを構築した先例からフレームワークを提示する。
ビッグデータの活用に躊躇する人に対しても、著者はビッグデータの活用がもたらす効果を解説する。コストパフォーマンスや時間短縮は無論、従来では考えられなかった新たな提案、意思決定の支援、さらには、ビッグデータの発見と生産志向の活用、そして、従来の属人的な経験からの脱却を解説し、何のためのビッグデータなのかを明示することでビッグデータの活用を促している。
本書は10年以上前に刊行された書籍である。しかし、本書の記載は今なお色あせることは無い。



