德薙零己の読書記録

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おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

セス・ゴーディン著,神田昌典監訳「セス・ゴーディンの出し抜く力:先がわかる人は、何を見ているか」(三笠書房)

セス・ゴーディンの出し抜く力: 先がわかる人は、何を見ているか (単行本)

マーケティングに関する著作を数多く残しているセス・ゴーディンは、なかなか毒舌な人である。たとえば弊作「SE山城京一のドラッカー講座」でも引用したセス・ゴーディンの「『紫の牛』を売れ!」のこのフレーズは多くの人が知るところであろう。

本書はそのセス・ゴーディンが2006年から2012年の6年間で自身のブログで公開してきた記事のうち反響の大きかった記事をまとめた一冊であり、マーケティング、リーダーシップ、キャリア、イノベーション、創造性など、ビジネスパーソンとして、また、MBAを目指す者の求めるトピックをカバーしている。

6年間の記事の集大成であると聞くと、普通はテーマのまとまりを感じない、あるいは変節を感じるものであるが、本書の場合、本書の原著タイトルにも掲げられている著者自身のブログ記事のひとつ Whatcha Gonna Do with That Duck?: And Other Provocations がそのまま本書のテーマとしてまとまっている。

すなわち、「行動を起こす」である。

行動こそが重要であり、準備しただけで安心するのではなく、準備を行動に移すことが重要だと説いている。その裏付けとして、厳しい環境でもトップを走るビジネスリーダーが何を考え、どう動くか、時代の先を切り拓く人の言葉を紹介している。

先に述べたように本書はセス・ゴーディンのブログの集大成であり、一つ一つの記事はさほど長いものではない。気軽に読めるものである。だが、その集大成である本書を読み終えたとき、行動の大切さを読者は知ることとなるであろう。