德薙零己の読書記録

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

ヨハン・ノルベリ著「進歩――人類の未来が明るい10の理由」(晶文社)

人類はこれまでどのような進歩を遂げてきたのかを考えたとき、過去を振り返ると、今よりも貧しく、今よりも非衛生的で、今よりも野蛮で、今よりも不便な暮らしへとたどり着く。現代の感覚では暴力的なものが日常どころか童話の中にすら存在し、差別も現代とは比べものにならないレベルだ。

と同時にこうも考える。

今の自分の暮らす時代は、後世から見て、貧しく、非衛生的で、野蛮で、不便な暮らしなのではないか、と。
現在、当たり前のように笑いのターゲットとしているネタも、後世からすればそのようなことで笑いをとるなど野蛮極まりないとされるのではないか、と。

もし、時代の移り変わりに身を投じることなく、自らの生まれ育った時代の風習にのみ従い、自らの生まれ育った時代の常識から刷新することがなければ、それは時代に取り残された粗野な人物として扱われることになるであろう。
老害”というのはそういう人のことなのか。

いや、“そういう人”と他人目線で見るのではなく、自分が今まさに現在進行形でそうなっているのではないだろうか。