去年からコメの値上がりが話題になっているが、食料品の値上がりは去年に始まったことではない。価格変動の激しい野菜や果物が顕著であるが、わかりやすい例としては菓子類が挙げられる。
板チョコ1枚はいくらか?
少し前までは100円でおつりがきた。
今はそのような価格での販売などあり得ない。近所のスーパーマーケットの価格を調べてみたが、安くても200円前後になっており、300円を超えるのも珍しくない。そして、この値段は良くても現状維持、後は上がるだけであり、かつての値段に下がる可能性は極めて低い。
なぜか?
一つはチョコレートの原材料であるカカオが値上がりしていること、もう一つは、カカオの需要が増えていることである。価格は需要と供給のバランスで決まるものではない。供給側だけに決める権利があり、需要の多寡は価格決定の参考指標の一つであるが、需要だけで価格を決めることはなく、需要側は供給側の付けた価格を受け入れるか拒否するかの選択肢しかない。需要がどんなに少なくても値上げしなければやっていけなければ価格は値上がりするし、需要がどんなに増えても供給が値を下げる、あるいは維持するというのならば、それが販売価格である。カカオについて言えば、共有側が価格を上げている。供給側の費用負担は既に限界を突破しており、値上げしなければ産業として維持できなくなっている。そして、カカオを値上げしても買うところはある。需要側にとっては、買わないか、高値になってしまったが買うかのどちらかしかない。
本書は基本的に日本国に置けるチョコレートの受容の歴史、バレンタインデーをはじめとする日本文化におけるチョコレートの位置づけ、スーパーマーケットなどで購入できるチョコレートの変遷や、ショコラティエによる高級チョコレートの紹介など多岐に亘っているほか、上記のようなカカオの生産事情についても詳細に書き記している。特に、年間売上の25%を短期間でたたき出すバレンタインデーについて、バレンタインデーとチョコレートとの関係性、歴史、ビジネスとしての側面の記載も詳しく記しており、私怨によりバレンタインデーに対する反感を持っている人であろうと、バレンタインデーとチョコレートとの関係を廃絶するなどありえないと言えるまでに産業として確立されていると痛感する記載も刻まれている。
それにしても、昭和33(1958)年の日本史上初のバレンタインセールで売れたのは170円、国鉄、現在のJRの初乗り運賃が10円の時代であることを踏まえても成功とは言いづらいキャンペーンであったのが、今やチョコレート関連企業の年間売上を左右する巨大イベントになるとは誰も夢にも思わなかったであろう。




