老後2000万円問題が騒がれるようになったかと思っていたら、これまで何度か繰り返されてきた「貯蓄から投資へ」が当たり前になっていた。今年から拡充されたNISAは多くの人に株をはじめとする投資を促し、日経平均株価もバブル前の最高値を更新して4万円台をつけるようになった。率と額の双方で史上最大の株価下げを記録した日もあったが、その日の値下がり後の金額ですら今年1月の株価を上回る数字であった。
一方で、物価が上がってきている。郵便料金はハガキが85円、封書が110円となり、コメが店頭から消えたのち、再び店頭に並ぶようになったと思ったら去年より4割増しの金額をつけ、コンビニやスーパーマーケットの商品棚では、販売価格は同じでも内容量が減っているというステルス値上げが以前より顕著となっている。
もっとも、給与も上がってきている。ようやく景気の好循環を取り戻したといったところであろうが、遅かった。遅すぎた。これまで30年に亘って働いてきた人は物価が上がらない代わりに給与も上がらない暮らしを余儀なくされてきていた。このまま老後を迎えたらどうなるか? 冒頭に述べた老後2000万円問題がやって来る。
この問題を避けるにはどうすべきかの解の一つが本書である。本書は投資の秘訣をまとめた書籍であり、書かれている内容の一つ一つはさほど難しくない内容である。詳細は本書を読んでいただきたいが、本書に基づいた貯蓄と投資をすることで、老後に備えることがある程度は可能になる。
問題なく解決するというわけではない。ただ、何もせずにいると苦しくなることは目に見えている。本書は見えている苦痛に対する抵抗の一冊である。