吾妻鏡は鎌倉幕府の立場から捕らえた鎌倉幕府の成立に至る歴史書である。そこには多くのバイアスがかかっているし、年月の記載ミスも存在する。それでも鎌倉幕府の成立に至る過程を最も詳しく叙述している史料であることは否定できず、平安時代から鎌倉時代への変遷についての視点は吾妻鏡からの視点、すなわち、鎌倉から見た視点になる。
しかし、当然ながら京都にとっても鎌倉幕府という新たな権力構造が成立していることは理解できていることであり、現存する資料を追いかけるだけでも京都からの視点での鎌倉幕府成立と興隆を追い求めることができる。
本書は、京都の視点から20名の人物を取り上げ、20名の研究者がそれぞれの人物の観点で鎌倉幕府と京都との関係を掘り下げる一冊である。
以下がその20名の人物と20名の研究者であり、本書の目次である。人物のあとのサブタイトルも本書目次に準拠している。
- 第Ⅰ部 内乱勃発から頼朝死去まで
- 第Ⅱ部 頼家継承から承久の乱まで
- 1 後鳥羽院・公武協調を破り、戦に敗れた権力者 (井上幸治)
- 2 藤原兼子・人脈と財力を兼ね備えた側近の女房 (長田郁子)
- 3 西園寺公経・幕府と結び、京都政界の黒幕となった院近臣 (樋口健太郎)
- 4 源通親・公武協調の礎を築いた御乳父 (井上幸治)
- 5 治部卿局・平氏の栄枯盛衰を見つめた女性 (曽我部愛)
- 6 西八条禅尼・京都と鎌倉をつないだ御台所 (田辺旬)
- 7 飛鳥井雅経・鎌倉で成り上がった公家 (金谷蕗)
- 8 安倍泰貞・鎌倉殿・幕府に仕えた陰陽師 (赤澤春彦)
- 9 源頼茂・内裏を焼いた源氏 (生駒孝臣)
- 10 佐木広綱・京都と鎌倉のはざまで葛藤した武士 (田村亨)
- 11 武藤資頼・九州に新たな秩序をもたらした武士 (中村翼)
- 12 栄西・日本仏法の中興を目指した僧 (中村翼)
この目次に挙げられた20名の視点から鎌倉幕府の成立と勃興を眺めると、鎌倉からの支店とは違った姿が見えてくる。



