德薙零己著「おじいちゃんといっしょ」は、高校生にしか見えない80歳のおじいちゃんと15歳の孫娘の話である。本人はその自覚がないのだが、周囲の人は80歳のおじいちゃんではなく高校生にしか見てくれない。
おじいちゃんの見た目が若いのは医学的にも確認されており、後期高齢者向けの人間ドックを受けた結果は15歳の肉体年齢というものであった。
これらは漫画的誇張表現ではあるのだが、果たして現実にあり得るのだろうか?
その問いに対する解の一つが本書である。
結論から記すと、こちらのおじいちゃんは漫画のキャラクターだからあり得る外見なのであり、現実ではありえない。
今のところは。
本書はそもそも、生物として老いるとはどういうことかをまとめた一冊である。信濃毎日新聞で令和5(2023)年1月から翌年4月まで連載された「老化と寿命の謎を探る」を大幅に加筆・再構成したものであり、様々な側面から生物としての人間の老いのメカニズムを解きほぐしている
裏を返せば、老いのメカニズムを一つ一つ克服していけば永遠の若さを手に入ることになるのだが、世の中そこまで甘くはない。活性酸素から逃れることはできないし、テロメアの短縮に抵抗しようものならそれはガンを生み出す。オートファジーは衰えるし、寿命制御に関わる遺伝子の問題もある。
老いに伴い筋力の低下や認知機能の低下も無視できない。歯周病や免疫の低下などはに地上でも起こりうる話であり、これらの問題を人類はまだ克服できていない。そうならないように気をつけようというスローガンが存在し、気をつけて行動するのみである。
本訴に掲載されている内容は医療関係者にとっては既知の情報であろう。しかし、多くの人にとっては新鮮な情報である。日常の何気ない仕草から、哺乳類としての宿命まで、人間の日常の中には老いの原因となる要素や逃れることのできない老いの兆候が数多く存在することを知るはずである。
おじいちゃんといっしょの佐藤善次さんはあくまでも漫画のキャラクターである。
今のところは。





