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塩野七生著「ローマ人の物語Ⅷ:危機と克服」(新潮社)

危機と克服──ローマ人の物語[電子版]VIII

皇帝ネロといえば、古代ローマ史上最も有名な皇帝の一人であろう。

コロッセオといえば、古代ローマを代表する遺跡の一つであろう。

実は、皇帝ネロはコロッセオを見ていない。

どういうことか?

コロッセオはネロの死後に、ネロの宮殿の跡地に建設された建物なのである。

ネロの死から一年あまりの時代、ローマは3人の皇帝がついては直ちに死を迎えるという混迷の時代を迎える。帝国の国境付近に展開している各軍団が自分たちの推戴する皇帝を選び、別々の皇帝を掲げる軍団同士の殺戮が繰り広げられ、ローマの支配下に置かれていたガリアはローマからの離脱を目指すようになった。

ネロの死後に皇帝に選ばれたガルバは最良の皇帝となると思われた。ただし、実際に帝位に就くまでは。ガルバは死を迎え、ガルバの死後に帝位に就いたオトーは戦いに敗れて死を選び、ただ一人の皇帝となるヴィテリウスは殺戮の末に見放され、自らを推戴した軍団が戦場で敗れた後は人であることを捨てるまでになった。

混迷を収束させたヴェスパシアヌスは庶民的な皇帝として秩序を取り戻し、ヴェスパシアヌスの息子のティトゥスによってローマを代表する建造物であるコロッセオが完成する。

若くして亡くなったティトゥスに代わり、ティトゥスの弟のドミティアヌスが帝位に就いてフラウィウス朝は頂点を迎えたが、ドミティアヌス元老院と対立し、統治不能に陥ってしまったのち、暗殺という最期を迎え、ドミティアヌス元老院より記録抹殺刑を受けることとなる。

時代は五賢帝の一人目、ネルウァの時代となった。