まず記しておくべきことは、本書が2015年に刊行され、2017年に邦訳された一冊であるという点である。ゆえに、最新では無い。何なら10年前とまで言ってもいい。
だが、最新で無いことと、読む価値の有無とは何ら連動しない。もっと言えば、本書に記されていることを知っていないと現在のビジネスについて行けない。もっとも、このあたりは筆者がフィンテックを職業としているからそのように捉える向きもあることは否定しない。
そもそもどうしてフィンテックが広まってきているのか?
突き詰めると、現金取引をやめるだけで日常の業務量が20%~25%減らせたという実験結果があるからである。業務量が減れば労力も減り、拘束時間を減らすことも可能となる。残業代が減って人件費削減となる。残業代を受け取る側にとっては収入が減ってしまうことを意味するので諸手で喜べないかもしれないが、残業過多である場面を解決する方法の一つであることは無視できない。
以下に本書の目次を転記するが、本書記載時点ではこれから先のビジネスに於いて知っておくべき最新技術であった事項が、2024年現在は知っていなければ話にならない事項になっている。
と同時に、フィンテックは全世界の競争案件ともなっている。日本はもはや最先端技術の国ではなくなっていることを把握した上で、フラットからの競争に挑むことが求められている。このチャレンジに挑まなかった者になっているのはこれからの時代の敗北者となる未来。挑まなければ現状維持すら成り立たないのがこれからの時代である。
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