アメリカ大統領選挙でトランプ旋風がまた吹き荒れている。
8年前、誰もトランプ候補が当選するとは思っていなかった。しかし、アメリカの有権者の選択はドナルド・トランプを大統領に据えるという選択であった。
このとき、一瞬にして注目を集めることとなったのが白人労働者階級(ホワイトワーキングクラス)である。本書はアメリカにおける白人労働者階級についての誤解や誤解を掘り下げた一冊であり、著者は本書に於いてエリート層による白人労働者階級の分析はしばしば見当違いであり、階級の無知に根ざしていると主張する。
多くの人々が「労働者階級」を「貧困層」と混同しているが、労働者階級とは実際にはとらえどころのない、消滅しつつあると言われる中産階級のことであるとするのが本書の主張だ。著者は本書に於いて白人労働者階級はしばしば貧困層と専門職の両方に憤慨するが、真の富裕層には憤慨しないと強調する。彼らの夢は、より経済的に安定しながらも、地域社会で自分たちの価値観に忠実であり続けることだとする。
その人達の選択が、トランプ大統領の誕生であった。上から目線でポピュリストやナショナリストの台頭、そして、多くの人々が自分たちの経済的利益に反する投票に見えるが、実際にはポピュリストでもナショナリストでもない知識層による理論的で合理的な選択になるのだ。