資本主義が始まったのはいつか?
本書の著者はそれよりも前から資本主義が存在していたことを書き記す。イスラム教勃興期、古代ローマ帝国、そして紀元前の中国も資本主義の経済であったとしている。
無論、資本主義の暴走による問題も存在していた。人権も、貧富も、格差も無視できぬ問題として露顕していた。奴隷制については廃止に至ったが、事実上の奴隷としか言いようのない暮らしを強要される人も数多くいた。こうした問題に対してたとえばマルクスは資本主義そのものを否定し共産主義を樹立することで対処できると主張したが、その主張が間違っていたことは歴史が証明した。
ただし、マルクスの主張したような形での資本主義の壊滅はなかった一方、資本主義そのものの衰退も歴史上に存在していた。紀元前の中国も、古代ローマも、イスラム社会も、現在に直結する資本主義ではなかった。
本書の主題は現代社会に直結する資本主義について、その黎明期から現代の世界的支配に至るまでの進化である。いかにして資本主義が勃興し、資本主義が社会に対すしてどのような影響を与えてきたかを記し、資本主義の経験してきた危機と適応についての考察の書である。
結論から言うと、マルクスが言うような欠点を資本主義は内包している。しかし、その欠点を自己修復する能力も持っているのだ。正確に言えば、資本主義とつながる自由民主主義が資本主義の問題を是正し社会を改善させているのである。
改善が完璧に達成されるわけではない。一つの問題を解決すると新たな問題が露顕する。その問題を解決しても新しい問題が登場する。資本主義の歴史は問題と解決の繰り返しである。



