いつもどこかで情報セキュリティの問題が発生している。問題が発生するたびに問題を解決するために人員を割き、時間を割いて対応する。中には情報セキュリティ問題への対処を専門とするエンジニアもいるが、多くの場合、問題に対する対応は他に本業を持つエンジニアが対応する。つまり、現時点で抱えている業務を後回しにして対応に追われることとなる。
さらにいえば、問題への対応は利益を生まない。利益を生まないが、対処しないと取り返しの付かない損失を生み出すこととなる。
本書は、人類がコンピュータを手に入れてから本書刊行年である2021年までに人類が直面してきた情報セキュリティの脆弱性の歴史をまとめた書籍である。ハッキング、ウイルス、ソフトウェアの脆弱性、そして電子スパイ……。情報セキュリティには様々な問題点があり、著者はそのそれぞれを詳しくまとめている。その全てがエンジニアにとっては知っておかなければならない知識であると同時に、思い出したくもない悪夢である。
そして、本来であればエンジニアがかなりの時間と労力をかけてコンピュータのハードとソフトを分析してどうにか原因を突き止めて対策をとるのであるが、そしてそこにはかなりの専門知識を要するのであるが、本書はそのような専門知識を必要とせずに読みやすくまとまっている。ぶっちゃけると、我々エンジニアが新入社員をはじめとする後輩に伝えるよりも、より優れた情報セキュリティ問題を教えてくれる。
エンジニアとして情報セキュリティにかかわるようになる人は、まずは本書を読んで情報セキュリティ問題の過去事例を知り、その上で、現場での情報セキュリティを学ぶのが最適解かもしれない。