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森山至貴著「10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」」(WAVE出版)

10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」

本書に於いて著者が向けたターゲットは10代だろう。だが、私はもっと歳上の人にこそ読んで欲しいと考える。

この一冊には言葉を聞かされる側では無く、言葉を言う側こそ知っておくべき言葉が列挙されている。責任回避と思考拒否を善意という殻で覆った言葉が。

以下に本書の目次を列挙する。

これらの目次に記されている言葉、多くの人が耳にしたことがあるであろうし、中には口にしたことのある人もいるであろう。

本書はそれぞれの言葉に対して詳細な説明を記している。その裏にある現実も容赦なく書き記している。その内容は耳が痛い話であるが、紛うことなき現実である。

たとえば、目次の一番最初に記され、本書の帯にも記されている「あなたのためを思って」。これは「ためになってない」。言っている側は善意のつもりで言っているのだろうし、善意が無いと自覚できるとしても悪意があるとは自覚していないであろう。だが、実際には善意などなく悪意しかないのだ。自らに課せられている責任を回避し、相手に現状を押しつけることで問題を先送りしているだけなのだ。これでは問題の解決など全く達成されないどころか、むしろ悪化して人生が破壊される結果となる。これについて発言者が責任を負うことなど全く無い。

その他の言葉も、一見すると納得できる無いように見えるが、実際には善意無き、あるいは悪意しか無い言葉の羅列と、その正体の暴露が続いている。

確かに本書を必要とするのは10代をメインとする言われる側であろう。だが、真に読んで欲しいのは、言う側の世代の人である。