いささめに読書記録をひとしずく

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芝健介「ヒトラー:虚像の独裁者」(岩波新書)

ヒトラー 虚像の独裁者 (岩波新書)

人類史上最低の人間を挙げよと問われたなら、私はおそらく、アドルフ・ヒトラーを人類史上最低の人間として挙げるだろう。スターリンじゃないのかと思う人もいるだろうが、あれはそもそも人間としてカウントする価値もないので、最低の人間とするならばヒトラーでいい。

と、いきなり暴言を放ったが、そもそもヒトラーとは何者なのかを知らない人はいないであろう。しかし、ヒトラーの詳細となるとあまり知られていない。また、その時代の人がヒトラーをどうして生み出してしまったのかという視点も、やはりあまり知られていない。当時のドイツにいきなりヒトラーという政治家が登場して、ドイツを、ヨーロッパを、世界を戦争に向かわせてしまったという認識である人もいる。

しかし、そのような考えは短絡的な思考である。一人の人間が、何ら成功体験を得ることもなく時流に飲み込まれ、第一次大戦で志を途中で打ち切られた末に、軍から怪しい集団への潜伏調査を命じられたらその集団の一員に加わり、いつの間にかリーダーへと上り詰め、さらに政権を握って国の全てを自らの手に納めることに成功した。それはヒトラー本人の資質もあったが、同時に、当時のドイツはヒトラーを求めていたのだ。仮にヒトラーが当初の予定通りに美術学校に合格し画家として生計を立てることに成功していたならば、ナチのトップであるヒトラーは誕生しなかった。しかし、また別の形のナチのトップが、あるいは他の政党の独裁者が、ドイツを支配することになっていたであろう。

ところで、私はこいつが大嫌いで、徹底的に見下している。

そのせいか、どんなにニュートラルで読むべきであると脳内では理解しようと、ネオナチが激怒すること必定と理解しようと、1枚目の写真のこの挿絵(p.129)を見てからというもの、2~4枚目の写真が慌ててポ○チンを隠している変態クソ中年に見えてしまう。

悪気はあるが謝るつもりはない。