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岩尾俊兵著「世界は経営でできている」(講談社現代新書)

世界は経営でできている (講談社現代新書)

大学一年時に教職課程に必要となる単位の一覧を見たとき、二年次以降に履修可能となる必須科目として「教育経営学」があり、はて、理事長として私立学校を設立し運営するようになるのに必要な知識を身につけさせるのかと考えた。いまいち漠然とした考えのまま一年を過ごし、実際に二年生で履修登録をし講義を受けてみると、なるほど、教育経営学であった。教師としていかに授業を、教室を、学校をマネジメントしていくべきなのかの講義であると同時に、今までは学生として、生徒として、児童としてマネジメントされてきたわけなのかと腑に落ちたのである。

経営と聞くと、企業の社長であったりCEOであったりといった人物やそうした人物の日々を思い浮かべるであろうが、実際にはもっと幅広い場面に登場する概念である。前述の教育経営学もその延長であり、さらにはもっと日常に溶け込んだ、それこそ家庭生活や勉強、恋愛、老後といった人生全般について適用される概念だ。

経営は何も儲けることだけを意味するのではない。より良い未来を構築するための計画や行動であり、自分だけでなく相手にとっても、第三者にとっても良い未来を導き出すための思考である。経営という軸で人生を見つめ直したとき、新たな観点からのこの社会の構造が見えてくるはずである。