ドラッカーの著作の多くは日本語訳されダイヤモンド社から刊行されることが多い。しかし、中にはなかなか邦訳版が手に入らない著作が存在する。
それが、ドラッカーがハーバードビジネスレビューに投稿した論文である。
本書はそれらの論文のうち35編を邦訳しまとめた一冊である。なお、全785ページ、価格8800円(税込)というボリュームであるので、気軽に読める本ではない。それは比喩的な意味では無く物理的な意味で。何しろこの厚さであるから、重い。片手で持ってもう片手でページを持つスタイルで読書すると、手首が壊れる。
以下が本書に掲載されている論文である。最後の補遺を除くと発表順に並んでおり、第1章から読み進めると1950年から2004年の経済の流れを追いかけることができる一方、その一編一編が普遍的な価値を持つ論文となっている。
- 第1章「経営者の使命」(1950)
- 第2章「人口動態で未来を読む」(1951)
- 第3章「プロフェッショナルを活かす」(1952)
- 第4章「『経済人』を超えて」(1955)
- 第5章「経営科学の罠」(1959)
- 第6章「一国繁栄の終焉」(1959)
- 第7章「自由経済の競争力」(1961)
- 第8章「大企業の使命」(1962)
- 第9章「R&Dはなぜマネジメントできないか」(1963)
- 第10章「経営者の真の仕事」(1963)
- 第11章「小さなアイデアの大きな力」(1964)
- 第12章「企業が魅力的であるために」(1965)
- 第13章「意思決定の秘訣」(1967)
- 第14章「マネジメントの新たな役割」(1969)
- 第15章「日本の経営から学ぶもの」(1971)
- 第16章「現代組織の新たな枠組み」(1974)
- 第17章「日本の成功の背後にあるもの」(1981)
- 第18章「起業家経済の到来」(1984)
- 第19章「イノベーションの機会」(1985)
- 第20章「人事の秘訣:守るべき五つの手順」(1985)
- 第21章「情報が組織を変える」(1988)
- 第22章「マネジメント:未来への課題」(1988)
- 第23章「会社はNPOに学ぶ」(1989)
- 第24章「製造業復権のコンセプト」(1990)
- 第25章「年金基金革命を考察する」(1991)
- 第26章「知識労働とサービス労働の生産性」(1991)
- 第27章「多元化する社会」(1992)
- 第28章「二一世紀のエグゼクティブ」(1993)
- 第29章「企業永続の理論」(1994)
- 第30章「エグゼクティブが必要とする情報」(1995)
- 第31章「『すでに起こった未来』への準備」(1997)
- 第32章「自己探求の時代」(1999)
- 第33章「アウトソーシングの陥穽」(2002)
- 第34章「明日への指針」(2003)
- 第35章「プロフェッショナル・マネジャーの行動原理」(2004)
- 補遺「アメリカ社会のダイナミズム」(1952)
なお、8800円という高値であることと、読むのに難渋することに怯む人がいるかもしれないが、そのような方にはオーディオブックで提供されているので、そちらも検討してみるのもいいだろう。