クレーマーを相手にして、クレーマーの要求を全部叶えたとしても、商売においてメリットは全く無い。山城京一もそう言っている。
ドラッカーはマネジメントの神髄を顧客の創造に置いたが、マシュー・ディクソン,ニック・トーマン,リック・デリシ共著「おもてなし幻想:デジタル時代の顧客満足と収益の関係」(実業之日本社,2018)は少し違った切り口を見せている。
顧客の創造という点ではドラッカーに通じるが、この一冊は、その企業の商品やサービスを愛好するロイヤルカスタマーの創造ではなく、その企業の商品やサービスを徹底的に忌避するディスロイヤルカスタマーの削減を訴えている。
ディスロイヤルカスタマーの削減という視点で考えたとき、クレーマーというこれ以上ないディスロイヤルカスタマーを相手にするのは無意味である。それどころか、クレーマーの存在そのものが顧客をディスロイヤルカスタマーへと劣化させてしまう可能性がある。