よく使われる接頭辞がある。「アフリカならではの」や「アフリカ人特有の」といった、アフリカ全体をひとまとめにした接頭辞だ。
それはサッカーにおいても例外ではない。CAF(Confederation of African Football:アフリカサッカー連盟)には56の国と地域が加盟しており、それぞれに異なるサッカー文化があって、それぞれに独自のサッカーを展開しているにもかかわらず、それらを一括りにしている。曰く、「アフリカならではのサッカー」。曰く、「アフリカ人特有のフィジカル」。
無論、アフリカの多くの国が抱える問題も存在する。大航海時代以降繰り広げられ、ベルリン会議で決定的となった植民地化。その残滓は未だ消えることなくアフリカの各地で問題となって存在している。民族や宗教の関係性など全く無視して引かれた国境線が現在の国家の国境となっているという問題である。ゆえに、国内問題は複雑なものとなる。
また、民族や宗教の差など関係無しに国境線を引かれたこともあって、植民地化される前の言語が国家の公用語となることは少なく、旧宗主国の言語を公用語とする国も珍しくない。地中海沿岸諸国がアラビア語を公用語とできているのは例外的とも言える。
本書がとりあげているのは以下の14ヶ国である。以下のリストは本書の目次であり、また、本書で取り上げている14の国のサッカー事情である。
- 南アフリカ/マンデラ、木を揺らす者
- エジプト/アラブの春がこだまする
- ザンビア/アフリカのサッカーには記憶力がある
- マリ/セイドゥ・ケイタ、平和のために
- ナイジェリア/〝スーパーイーグルス〟は天高く舞う
- トーゴ/血と石油
- カメルーン/ライオンの本能
- アルジェリア/サッカーか宗教か?
- 南スーダン/末っ子国家
- コートジボワール/ゴールはもっと多く、武器はもっと少なく
- コンゴ民主共和国/政権のプロパガンダとしてのサッカー
- 赤道ギニア/サッカーとエボラとヘリコプター
- 南アフリカ/倒れた英雄、センゾ・メイワ
- セネガル/閉じない輪
いずれもそれぞれの問題があり、それぞれのサッカー文化があり、その結果として現在が存在している。そして、未来があることも示されている。
おそらくであるが、そう遠くない未来、CAF加盟国のどこかがW杯を手にする気がする。