人類は人類だけで文明を構築し、維持してきたのではない。食糧としてだけではなく、羊や蚕は衣服を生み出し、馬や牛は農耕の補助や輸送を担い、さらには海鳥のフンの蓄積がリン鉱石となることで、人類の歴史に絡んできた。ライト兄弟が飛行機を作り上げたときも鳥の構造から飛行機の構造を創出して機体を作り上げたことは有名であるし、フロイトは犬を精神疲労状態にある患者への治療に用いた。
無論、こうした実用だけではなく、愛玩としても動物は人類の歴史に深く絡んできた。愛犬家としても有名であったヴィクトリア女王や、愛猫家としてのエピソードを数多く残しているリンカーンやチャーチルも欠かすことはできない。日本でいうと鷹狩りを広く推奨した德川吉宗もここで挙げておくべきであろう。
一方で、人類に苦痛を与えた動物も存在する。人類史上で言うと、ペストを媒介する原因となったネズミや、現在進行形でマラリアを媒介させている蚊など、人類を殺害してきた動物も存在する。日本人は甘く見ることも多いが、動物と人間との関係においては狂犬病も忘れてはならない。
人間の命を奪う動物がある一方、人間が絶滅させた動物もまた存在する。このように欠くと多くの人はドードーのように人間に捕獲、あるいは人間のペットとなった他の動物に食用目的で捕獲されて絶滅を迎えた動物を思い浮かべるであろうが、珍しい例ではヒルがある。血を吸う不気味な動物と多くの人は思うであろうが、まさにその地を数という特性のために医療用に大量の捕獲されて消費されて絶滅の危機を迎えた歴史が存在している。
本書はこうした、人類の歴史における人類と動物との関係をまとめた一冊である。