もし、ミクロ経済学を学びたいなら、あるいはビジネスパーソンとして必要なビジネスに関する知識を身につけたいなら、本書から取りかかることをお勧めする。
本書を一言で記すと、「ミクロ経済学の分野への包括的なガイドブック」である。だが、かのスティーヴン・レヴィットの名が最前面に出ていることから想像できるとおり、本書は理論と実践の間のギャップを埋め、経験を提供して、学生が理論をテストし、ビジネスパーソンが理論を実践する際の裏付けとなる一冊となる。社会科学は自然科学のように実験を繰り返したり、机上での数式で証明を繰り返すことはできない。その代わりに歴史が理論に対する結果として利用される。それは本書も例外ではない。ミクロ経済学に関する理論を裏付ける事例として歴史が多数引用される。
本書の体裁としては学生向けのミクロ経済学の入門書である。本書の章立ても、実際の経済原理の基本を理解することから、経済分析の強力なツールを適用することまで、学生にミクロ経済学の知識を身につけさせることを前提としている。前述の歴史からの引用も実証的な証拠とデータとなり、学生が理論的な概念を現実の状況に適用するのに役立つ。すなわち、ビジネスパーソンも日々の業務における指針として利用することができる一冊である。