以前、消防車を停めてうどんを食べていたことに対するクレームが話題になったときに「文句言うなら火事が起きても火を消されなくなるぞ」なんて冗談めいた話が出ていたが、本訴はその冗談に対する残酷な史実を示している。
本書は昨日公開した基礎編の続編である。
基礎編でも記したが、本シリーズは豊富な事例引用により理論の実践を明示している。そして、基礎編では知っておくべき知識を身につけるのに歴史からの引用を用いているのに対し、発展編ではさらなる応用を展開している。前述の消防の事例は本書に挙がっている事例のうちの一つであり、「こうすれば良いのではないか」という思いつきに対する答えだけではなく、ときには非現実的な思考実験とするしかない思いつきに対しても史実という答えを示している。
基礎編と同様、本書も本質的には学生向けの教科書である。「良い教師はどこにいったのか?」、「ゲーム理論が命を救う」、「スパムメールを減らす」といったより実践的な教材を取り上げて解説している。
また、本書には演習問題もあり、そこにはある程度の数学的知識も必要とするが、高校数学レベルで可能である。問題を解き進めて出てくる答えはミクロ経済学に関する知識をより深く身につけることとなるであろう。