想像してしまうことがある。もし、キッシンジャーがまだ外交の第一戦で健在であったならば、と。
中東戦争でカイロからスエズまでの高速道路をイスラエルが占領したために、エジプトはスエズまでの補給路が断たれ、日用品などの非軍事物資をスエズまで送ることができなくなった。
占領しているイスラエルは、検問はするが非軍事物資の補給は認めるのだから問題ないとしているが、エジプトとしては占領そのものが認められないので補給物資を送ることができない。
その間にもスエズの生活は悪化の一方をたどっている。
両国の仲介をしたキッシンジャーは、イスラエルとエジプトの両国に対し、イスラエル占領地を国連監視下に置くことを提唱。ただし、なお戦闘状態が続いているので軍事物資の補給がなされないよう検問は継続するとした。そして、国連監視下の検問はイスラエル軍が担当するとした。
イスラエルは自分たちの占領が続き、エジプトは一時的に国連の監視下に入るものの、イスラエルの高速道路の占領が終わったと捉えた。
そしてもっとも大切なこととして、スエズの生活の悪化が止まった。
はたして、今のガザの状況を天国のキッシンジャーはどう捉えるであろうか?