恐ろしい本である。
買ってから自宅に帰るまでの電車の中でずっとこの本を読み続けたことだけが恐ろしさの理由ではない。
著者のこれまでの書評をまとめた一冊だが、解説する書籍の一冊一冊そのものが魅力的であるだけでなく、楠木建氏の解説の素晴らしさ、わかりやすさもあって、書評に挙げられている書籍そのものを買って読みたくなってしまった。
アダム・グラントやモートン・ハンセン、塩野七生など、既に買って自宅にある本については「そうそう、この本を読んだとき自分もそう思っていた」「なるほど、こういう捉え方もあるのか」となるが、そうでない本についてはどうか?
途中下車して文教堂市ヶ谷店に立ち寄り、財布の中身が減ってカバンの中の本が増えていたことを以て、その回答とさせていただきたい。
楠木建氏のこの一冊は、読んだ人の財布を痩せさせ、自宅の書架の余白を無くさせてしまうという恐ろしい本だ。
読んでいる途中も、読み終えたあとも、書店に足を運びたくなっている自分がいる。