德薙零己の読書記録

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乃至政彦著「平将門と天慶の乱」(講談社現代新書)

平安時代叢書第七集「貞信公忠平」は、その半分が平将門の乱についての記述である。

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乃至政彦氏の著作を読み終えてからずっと、貞信公忠平を書き記した頃の自分を懲らしめたくなっている。
自らの作品の浅さを痛感する。
自分の洞察の足らなさを痛感する。

平将門が何歳なのか、どうしてあのような行動を起こしたのか、どのような経緯をたどったか、そして、どのように平将門の終焉を迎えたのか、自分はあまりにも知らなかった。知らないままでいた。

本書は平安時代中期に関東で反乱を起こした平将門の実像に迫るとともに、その背景にある時代の動乱や人々の思惑を描き出した乃至政彦氏の力作である。

本書の特徴は、『将門記』を軸として平将門の生涯を詳細に検証していることにある。それだけであれば貞信公忠平でも描いたことであるが、京都で過ごした少年期から、伯父との争族、朝廷からの追捕使との戦い、坂東独立の野望、新皇即位、敗死まで、その一挙手一投足の追いかたが貞信公忠平の比ではない。

本書は、平将門天慶の乱に興味がある人はもちろん、日本史全般に関心がある人にもおすすめの一冊である。