德薙零己の読書記録

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大和和紀著「源氏物語 あさきゆめみし 完全版 5」(講談社)

源氏物語 あさきゆめみし 完全版(5) (Kissコミックス)

あさきゆめみし完全版第5巻は

  • 第十九帖 薄雲(うすぐも)(第4巻の続き)
  • 第二十帖 朝顔(あさがお)
  • 第二十一帖 少女(おとめ)
  • 第二十二帖 玉鬘(たまかずら)
  • 第二十三帖 初音(はつね)
  • 第二十四帖 胡蝶(こちょう)
  • 第二十五帖 蛍(ほたる)
  • 第二十六帖 常夏(とこなつ)
  • 第二十七帖 篝火(かがりび)
  • 第二十八帖 野分(のわき)
  • 第二十九帖 行幸(みゆき)
  • 第三十帖 藤袴(ふじばかま)

が範囲である。

光源氏は賜姓源氏である。すなわち、父が天皇である源氏であり、いかに光源氏個人が権勢を掴んでいようと家としての権勢を掴めているわけではない。政治家としての光源氏が一個人として能力を発揮して権勢を掴むところまではどうにかなっても、藤原氏をはじめとする多くの貴族がそうであるように、氏族全体で権力者を次々と輩出する仕組みを構築出来ているわけではない。それ以前に、光源氏にはバックボーンが存在しない。

さらに光源氏にはもう一つのハンデがある。亡き桐壺帝の息子のうちただ光源氏ただ一人が臣籍降下で源氏となったため、嵯峨源氏のように兄弟で協力して新しい氏族を創り出すのではなく、光源氏ただ一人で新しい氏族の始祖とならねばならない。

第5巻で描かれている光源氏は大人である。父である。息子のことを考える親として、そして、新しい氏族を創り出そうとしている一人の貴族として我が子の教育を考え、邸宅を構築している。

ここまでを見れば、賜姓源氏としての光源氏は氏族の始祖として申し分ない行動を示しているように見えるし、結果も出しているように見える。そう、ここまでを見れば。

このあとどうなるか、それは第6巻以降で。