德薙零己の読書記録

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

ジャレド・ダイアモンド,ポール・クルーグマン,リンダ・グラットン,マックス・テグマーク,スティーブン・ピンカー,スコット・ギャロウェイ著,大野和基編「コロナ後の世界」(文春新書)

奥付に従えば本書刊行は2020年7月である。世界中でCOVID-19の猛威に恐れ戦(おのの)いていた頃であり、この時点ではまだワクチンが存在しておらず、マスクがどこにも売っておらずに、出勤前にドラッグストアの前に行列を作る高齢者達を横に、前日に洗って干しておいた5日目の不織布マスクを着用して会社に向かっていた頃である。

さて、本書はかなり急いで刊行された書籍であり、もともとは前年11月前後にインタビューした方々からの話があり、そのあとでCOVID-19が広まったことから2020年5月から6月にかけて追加インタビューをして一冊にまとめた書籍である。同時期にはCOVID-19に関連した様々な書籍が刊行され、それは玉石混交とするしか表現できない光景であったが、本書は間違いなく玉である。

それなのに、本書はどういうわけか全くメディアに取り上げられていない。理由はわからないが、第4章「認知バイアス感染症対策を遅らせた」を著したスティーブン・ピンカー氏の「ジャーナリズムの罪」と「いいニュースは報道されない」の部分と関係あるのだろうか?