世の中には豊かな国と貧しい国とがある。その違いはどこから来ているのか?
本書によると、世界に存在する豊かな国と貧しい国の間の差異とは経済的な制度が決定するという。裏を返せば、自発的な努力によって豊かになることが可能であるということだ。
思い浮かべていただきたい。
あれほどまでに繁栄を極めたローマ帝国はなぜ滅びたのか。
共産主義はなぜ失敗したのか。
北朝鮮と韓国とでどうしてここまで差がついたのか。
そして、各国で頻発する民衆デモの背景に何があるのか。
本書はそれらの問いに回答を与えている。
詳細は本書を読んでいただきたいが、一つだけここで挙げられることがあるとすれば、豊かな経済を構築したとしても、法の支配や政権交代が可能な民主制度の支えがなければ豊かさを維持できず国家は衰退してしまうのだ。もっとも、政権交代について言うと、日本が2009年にやらかした失敗という例がある。3年8ヶ月の太平洋戦争と3年4ヶ月の民主党恐慌は国民を絶望に追いやった二度と繰り返してはならない悪夢である。
話を元に戻すと、本書は国家の経済的発展と衰退についての深い理解を得ることができる一冊である。2013年刊行、すなわち10年前の書籍であるためそれ以降の世界情勢変化については当然ながら記されていないが、本書に書かれていることは本書刊行より10年を経た現在も通用する話である。