德薙零己の読書記録

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永井孝尚著「売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証(PDCA)」(幻冬舎)

本書のテーマは、変化が激しい現代において、売れる仕組みを作るために必要な「トルネード式仮説検証」という方法論である。

PDCAサイクルやOODAループに接してきたビジネスパーソンは多いだろう。本書も基本的にはビジネスパーソンが何度も接してきた、あるいは現在進行形で接しているビジネスパーソンに向けて刊行された書籍であり、本書を読むと途中までは自分が今まで仕事において接してきた内容と感じるであろう。

しかし、途中からおかしいことに気づくはずである。

早いのだ。

サイクルもループも早いのだ。

それが本書の挙げている「トルネード式仮説検証」である。簡単な仮説を立てて即実行し、結果を検証して新たな仮説を立てるというサイクルを、とにかく素早く回し続けることで竜巻のように成長するというのが本書の主眼である。

本書は4章構成となっており、前半ではトルネード式仮説検証の必要性と進め方を紹介して、後半では実践事例や組織での導入方法を紹介している。そう、もう既に動いているのである。これからの新しいPDCAサイクルやOODAループではなく、既に最新へとアップデートされているサイクルやループの実践例を紹介しているのである。

なかなか踏み出せない。仮説ばかり立てていて検証しない。失敗を恐れて行動できない。そういう人にとっては行動を後押しすることになるであろう。

トルネード式仮説検証は、現場の声やアイデアを活かすことができる。というより、それが行動の源泉である。ゆえに、現場のモチベーションも高まる。また、失敗から学ぶことができるので、失敗を恐れずにチャレンジできる文化が育つという利点もある。

本日の記事のリンク先は電子媒体であるが、本書は紙媒体で245ページと、おそらく一日あれば読める分量である。休日の一時(ひととき)をこの本を読むのに使うのも悪くはないであろう。それが、あなたの月曜からの仕事の在り方を大きく変えることになるのだから。