本書は、創造的精神の内面を掘り下げた、啓発的で示唆に富む本である。心理学者のスコット・バリー・カウフマンとジャーナリストのキャロリン・グレゴワールの共著であり、人間の創造性の複雑さとニュアンスを包括的に探求している一冊である。
本書はまず、創造性とはある個人が持つ固定的な特質であり、そうでない人もいるという考え方に挑戦することから始まる。二人の著者は、創造性とは多面的でダイナミックなプロセスであり、誰にでも育み伸ばすことができると提唱する。著者らは、広範な調査と実例を通して、創造性は芸術家や音楽家に限ったものではなく、人生のあらゆる領域に浸透する人間性の基本的側面であることを実証している。
本書の強みのひとつは、科学的研究と実践的応用のギャップを埋める能力にある。二人の著者は、心理学理論、神経科学の知見、そして個人的な逸話を難なく組み合わせ、専門家にも一般読者にも親しみやすい説得力のある物語を作り上げている。さまざまな分野のクリエイティブな人々を取り上げ、彼らの思考パターンや習慣、問題解決へのアプローチに共通するものを紹介している。
著者たちは、想像力、白昼夢、マインドフルネス、レジリエンスなど、創造的精神のさまざまな側面を探求し、創造的プロセスの謎を解き明かしている。また、自信喪失、完璧主義、失敗への恐れなど、クリエイターが直面する一般的な障害や課題も取り上げている。脆弱性を受け入れ、リスクをとることの重要性を強調することで、読者が自分自身の創造的な可能性を引き出すことを奨励している。
本書のもうひとつの特筆すべき点は、創造性とメンタルヘルスとの関連性を強調している点である。著者たちは、創造性はしばしば葛藤や逆境、あるいは精神的な病から生まれると主張している。自分のユニークな経験や感情を受け入れることが創造的なプロセスを促進し、個人の成長と幸福につながるという考えを裏付ける説得力のある証拠を提示している。
本書は広範なトピックをカバーしているが、読者によっては、特定のセクションが反復的であったり、詳しすぎると感じたりするかもしれない。さらに、著者たちは創造性を培うための実践的なエクササイズや提案を提供している。
全体として、本書は人間の創造性を探求する魅惑的な書であり、従来の信念に挑戦し、読者に自らの創造的可能性を解き明かすインスピレーションを与えてくれる。二人の著者の共同作業は、科学的研究と個人的経験のギャップを見事に埋めており、本書は創造的能力を理解し高めたいと願うすべての人にとって貴重なリソースとなっている。