21世紀の資本刊行の2年後、この本が翻訳された。
原著は2001年であるから厳密にはこちらの本が先なのだが、日本語で読むとなるとこちらが後になる。
このときの感想を当時のTwitterから。
トマ・ピケティ著「格差と再分配~20世紀フランスの資本~」(早川書房,原著2001,翻訳2016)をようやく読み終わった。電子書籍だからまだどうにかなったが、紙だと、厚さ5.2cm、総ページ数1104ページというとんでもない本である。
— 德薙零己 (@rtokunagi) 2016年12月26日
格差の拡大を懸念し、「21世紀の資本」(みすず書房,原著2013,翻訳2014)を上梓したトマ・ピケティ氏のデビュー作でもあるこの一冊は、20世紀のフランス社会における格差の移り変わりを、拡大→縮小→拡大という流れで進んでいると説いている。
— 德薙零己 (@rtokunagi) 2016年12月26日
「21世紀の資本」は拡大の次がさらなる拡大であることを説き、その幅が年々広がっていることを示しているが、「格差と再分配」執筆時は現在のような格差を将来の危惧としているに留まっている。とは言え、読後は本当にそうなのだろうかとも考える。
— 德薙零己 (@rtokunagi) 2016年12月26日
本書にもあったように、第二次大戦後のフランスは、戦前のどんな急進左派も主張しなかったような高額な所得税を課した。ナチスに国土を破壊され、海外植民地を失い、戦火を免れた以外に生きる術(すべ)を無くした人にも「戦火を免れた」というだけで課税対象となった。
— 德薙零己 (@rtokunagi) 2016年12月26日
「21世紀の資本」にもあったが、格差が無くなるのは、戦争、革命、大規模自然災害という悲劇のあとに訪れること。第二次大戦後のフランスが高額な所得税を課して格差を無くしたかのように見えたのも、実際には税制ではなくナチスによる破壊が理由だったのではないだろうか?
— 德薙零己 (@rtokunagi) 2016年12月26日