德薙零己の読書記録

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

エリック・ウォール著,住友進訳「UNThink:眠れる創造力を生かす、考えない働き方」(講談社)

創造性が天賦の才能ではないというのはアダム・グラント氏も述べていることであるが、本書の著者であるエリック・ウォール氏もまた、天賦の才能では無く、既成概念から解き放たれ、創造的天才の無限の可能性を受け入れるよう促しながら、人間の心の魅惑的な探究へと誘っている。

その誘いの書籍が本書である。本書は単なるガイドではなく体験である。実践的なエクササイズを組み合わせ、個人的な逸話、ケーススタディ、示唆に富む質問を織り交ぜて記すことで、読者に情報を与えるだけでなく、読者を巻き込み、創造性を解き放つインスピレーションを与えている。

特に着目すべきは創造性とビジネスの接点に重点を置いているこにある。創造性とは芸術家や発明家に限られたものではなく、全てのプロフェッショナルが職場で革新と成功を推進するために活用できるスキルである。創造的思考を取り入れた企業や個人の実例を示すことで、イノベーションの文化を育むことの具体的なメリットを説得力を持って説明している。

さらに本書は伝統的な規範に挑戦し、読者に現状を疑うことを促している。本書は、リスクを冒し、失敗を受け入れ、失敗から学ぶことを提唱し、これらの経験は創造的なブレークスルーへの不可欠な足がかりであると強調する。やる気を起こさせるだけでなく、より革新的な環境を育もうとする個人や組織にロードマップを提供する。

本書は読者に創造的本能を受け入れ、イノベーションの限界を再定義することを促す、活気に満ちた刺激的な一冊である。本書を読むことで、読者は創造的な可能性を解き放つ力を得ることができるだろう。