グローバル化した世界において、場所は重要でない。
そのような考えを木っ端微塵に打ち砕くのが本書である。
著者は本書において、住む場所がどれほど重要であるかを強調している。それこそ人生のパートナーやキャリアを選ぶことと同じくらい重要であると説いているのだ。もっとも、ここでいう場所というのは市町村や都道府県のレベルよりも広い。たとえば東京で生活する人は東京都民だけでなく、狭く捉えても神奈川県、埼玉県、千葉県が、より広く捉えると首都圏全域や新幹線で東京まで容易に移動できるエリアは一つの場所である。
最近の研究によれば、特定の都市や町が他よりも人々の幸福に寄与していることが証明されていると著者は説いている。コミュニティ、施設、文化の活気などが重要な役割を果たしているというのがその骨子だ。
その上で、クリエイティブ経済が我々の選択にどのように影響を与えるかを探求している。クリエイティブな職業の人や起業家が都市のダイナミクスにどのように影響を与えるか。
著者は本書において周囲の環境を慎重に考慮するよう促している。地理的な座標だけでなく、自分の目標や価値観に合った場所を見つけることの重要性を記しているのが本書である。都市が単なる地図上の点以上のものである世界で、この本は私たちの人生と選んだ場所との深いつながりを探求することを提案していると言える。
