いささめに読書記録をひとしずく

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

エリック・H・クライン著「B.C.1177~古代グローバル文明の崩壊~」(筑摩書房)

簡単に言えば、いわゆる「海の民」について記した一冊えだる。しかし、紀元前12世紀にはグローバル社会が成立していただけでなく、グローバル社会があまりにも短時間で崩壊したという事実を記している一冊でもある。 私はそこに恐怖を感じる。現在の日常生活…

ヨハン・ノルベリ著「進歩――人類の未来が明るい10の理由」(晶文社)

人類はこれまでどのような進歩を遂げてきたのかを考えたとき、過去を振り返ると、今よりも貧しく、今よりも非衛生的で、今よりも野蛮で、今よりも不便な暮らしへとたどり着く。現代の感覚では暴力的なものが日常どころか童話の中にすら存在し、差別も現代と…

塚瀬進著「満洲の日本人〈新装版〉」(吉川弘文館)

明治、大正、そして戦前昭和の日本人は、何を求めて満州へと渡ったのか?短絡的に言えば、エリート意識を満たした上での豊かな暮らしである。何しろ、満州に渡れば日本国内の1.2倍から1.5倍の給料が得られたのだ。都市部のホワイトカラー職務も夢ではない。 …

ジャレド・ダイアモンド&ジェイムズ・A・ロビンソン編著,小坂恵理訳「歴史は実験できるのか ~自然実験が解き明かす人類史」(慶應義塾大学出版会)

大地を変えることはできない。気候を変えることもできない。しかし、社会を変えることはできる。 絶対的な豊かさを手に入れたければ、今の相対的な豊かさを手放さなければならない。「他の人より豊かである」は「全体としては貧しい」への道をたどるのみ。 …