德薙零己の読書記録

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

××××著「校門の時計だけが知っている:私の「校門圧死事件」」(草思社)

平成2(1990)年7月6日、兵庫県立神戸高塚高等学校の教師であった××××が生徒を殺害した。殺害に用いたのは学校の校門の門扉、被害者は門扉と門柱殿間に挟まれて命を落とした。門扉は230kgあり、被害に遭った生徒は学校の校門を通って校舎に向かう途中で教師に殺害されたのである。

なぜこの教師は教え子を殺したのか? この殺人犯は犯行動機をこのように述べている。「遅刻しそうだったから」。この学校では以前から遅刻者を学校内に入れないように始業時刻になったら門扉を閉める、それも勢いを付けて230kgある門扉を閉めることが通例化しており、犯人も通例に基づいて門扉を閉めたとしている。また、被害に遭った生徒の前後をにいて、たまたまこの殺害の被害を免れることが出来た生徒達は、門扉に挟まれている生徒がいるにもかかわらず門扉を閉め続けようとしていたと供述している。

たかが遅刻で殺人を犯しても平然としているこの犯人、そして、学校の姿勢は当然ながら糾弾されることとなったが、裁判の判決は、業務上過失致死による禁固1年執行猶予3年というものであり、また、犯人は兵庫県教育委員会から懲戒免職処分を受けたが、それだけであった。

本作の著者はその殺害犯である。なお、本サイトでは通常ならば著者名を記しているが、本日の記事では著者名の名を記さない。冒頭に掲げた書影には著者名=殺人犯名が載っているが、本日の記事では記さない。記す価値も無い。

なぜか。

本書を読んで欲しいとは言わない。そもそも買う価値もない。

それより、本書のリンク先にある書評を読んでいただきたい。それで十分である。