いささめに読書記録をひとしずく

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

チャールズ・ベルリッツ著「ベルリッツの世界言葉百科」(新潮社)

本書は言語を軸にまとめたトリビア集の本である。
たとえばこんなエピソード。


第二次大戦中、ナチスドイツの手に落ちたヨーロッパを解放するために、アメリカ軍は秘密訓練を開始した。訓練参加者は、秘密訓練の内容は無論、訓練に参加していることも秘密であることを徹底された。秘密を漏らした者は軍法会議に処せられた。

秘密訓練の参加者はボストン近郊に集められ、ノルウェー語の学習とスキーの訓練が義務づけられた。上陸作戦の予定地の言語は無論、雪の降りしきる大地に上陸するにはスキーの技術が欠かせなかったからだ。当然ながら、ノルウェー語の学習もスキー訓練も極秘だ。

極秘訓練を施された兵士達は、慣れ親しんだ装備を手に船に乗り込んだ。いつ乗り込んだか、どの船に乗り込んだか、そして、誰が船に乗り込んだかも完全に秘密。船が大西洋を西から東へ航海していることなど最重要機密だ。

大西洋を横断した船は、秘密訓練の成果を存分に発揮した。
夏のチュニジアに到着した船から下りた兵士達は夏の砂漠での戦いで秘密訓練の成果を発揮した。

その間、ナチスの精鋭部隊はノルウェー西崖に配備されたままだった。
秘密訓練の内容をナチスのスパイは掴んでいた。
だからこそチュニジア上陸作戦は成功したのである。