イザベル・ウィルカーソン氏が著した「カースト」（岩波書店 ,2022年）を読むと、理由より先に感情に基づいた序列があって、序列に従うことを是とするために様々な理屈を作り上げるというのが、哀しいことに人類の一般傾向なのかと痛感する。
平安時代叢書の中でもたびたび、それまで序列が下だと考えてきた人が、自分と同列に並んだだけでなく、自分を追い抜くことに対して激しい憤りを見せることへの憤怒を取り上げてきたけど、それは平安時代の独自の感情ではなく人類普遍の感情なのかと感じてしまう。
そうじゃないと思いたいし、その思いを抱かなかった人、あるいは、思いを抱いても表に出さず、公正、公平、平等を推しすすめてきた人も歴史上たくさんいたし、今もたくさんいる。少なくとも現代社会はコンセンサスが得られている。だからといって、過去の問題となったわけではないとも感じる。
イザベル・ウィルカーソン氏の著作を読んだ人は様々な感想を抱くであろうし、そこには数多くの差異が見られるはずである。その差異を、あるいは同意見を、見たい、知りたい、そして、学びたい。
